繰り返される自然の猛威のなかで、
そこからの復興のたびに先人たちは、ひたすら次の世代のことを思い、先人らから受け継いできた知恵、そして自分らが編み出したものをその地に刻んできました。

三陸という地が生き長らえられてきたのは、そのような知恵なり想いが営々と大事に漏らさず受け継がれ伝えてきたからに他なりません。

たとえば新沼真弓さんの「乾燥りんご」。陸前高田市米崎町産りんご

そこには先人らの人間というものの性(さが)を知りぬいた知恵と、新しく自身の体験によって見出した知恵が組み合わさっています。

新沼さんは、常備畜という考えを推奨されています。
被災の時に、なかなかビタミンやファイバーを摂れるものがなくて困った。
そんな時、地域で作られていた保存食の乾燥りんごを使うことを思いついたのです。

非常のために備え、常に用意し古くなれば交換する。
このような非常食の考え方では、「のど元過ぎれば」式に、自然の脅威に時間が空けば、忘れがちになります。

そうではなく普段使いする。
全部を食べきってしまえば意味はないので、少しずつ食し、あとは、いざという時のための一定量は必ず残しておく。
むろんその量が減れば、足しておく。
“常備”+“備蓄”で常備畜です。

そんな現代社会に適応する新しい備蓄食の形、
そして、古くから地域で作られてきた保存食の乾燥りんご。

新しい知恵と古くからの知恵が融合して、次の世代に受け継がれていくのです。